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2017年05月22日

旅行者の朝食

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米原 万里
文春文庫 540円

「生きるために食べる」のか、「食べるために生きるのか」。本書の中で印象的に用いられる言葉です。あなたは自分のことをどちらだと考えるでしょうか?本書は、後者であることをはっきりと自認する筆者による、食べ物についての著書ですが、単なるエッセイではありません。
著者の米原万里は、父親の仕事の都合により、幼少期をチェコで過ごし、そこでロシア語による教育を受けます。日本帰国後もロシア語の学習を続け、出版社などでの勤務を経た後、ロシア語同時通訳の第一人者として、ロシアからの国賓の通訳、日本人初の宇宙飛行士誕生時のロシアとの交渉役など、様々な要職を歴任。その後文筆家としても活躍するようになります。そのような経歴をもつ筆者だけに、経験の幅も広く、また、その食にかける情熱も並大抵のものではありません。
この本を読んだ人の誰もが魅了され、「ぜひ食べてみたい!」と思ってしまう「トルコ蜜飴」という食べ物があります。子どもの頃に出会ったその味が忘れられない筆者は、探求の末に、その「ハルヴァ」という食べ物の正体を突き止めるのですが、その味の巧みな描写もさることながら、その探求の中で繰り広げられる様々な出来事や薀蓄の数々に、もれなく読者はひきつけられてしまうのです。
トルコ蜜飴の話に代表されるように、筆者の経験や、知識、強い探究心に裏打ちされた語り口は、単なるエピソードの羅列に留まらない、数々の魅力に満ちています。タイトルにもなっている「旅行者の朝食」とは一体どのようなものなのか、ぜひ自らの目で確かめてみてください。(T)
posted by 紫雲国語塾 at 13:46| 大分 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 紫雲の本棚から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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