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2017年11月24日

いのちの半ばに

いのち半ばに.jpg
アンブローズ・ビアス
西川 正身
岩波文庫・絶版

「国語力をつけるにはどうすればいいか」という質問を受けることが多い。ところがこの質問をされる方は、必ずと言っていいほど、質問した瞬間にご自分で答に気づいた表情をし、私がおもむろに「読書が…」と口を開くと、「やはり…」となる。「読書」は、本当は当然の行為なのに、いつのまにか、趣味や嗜好性の一部に取り込まれ、「読書しない」という個性があるかのように語られる。あるいは、「読書したら国語の成績が上がる」かどうかで、読書という行為の価値を計ろうとする。「これを飲めば痩せる」というのは、商業主義の好む論理であって、それを読書に当てはめるのはあまりにナイーブだ。宿題の山、試験の嵐、部活動の疲労、といった苦難の中、どうか読書をしてほしい。その意義は、テストの成績ではなく、あなたの思考力をつくり、感性を育て、判断力を高め、想像力を大きくする。読書は、あなたの人間形成に寄与する、もっと高い次元のものだとわかってほしい。
そして、どうしても時間のない人、読書に抵抗のある人に、「劇薬」の超短編をお薦めする。ビアスはアメリカの小説家。『悪魔の辞典』の著者としても有名。彼の短編集の中の一つ、「アウル・クリーク橋の一事件」は、わずか15ページ。かつて、作家・筒井康隆が激賞した、短編の「どうしようもない傑作」(筒井康隆『短編小説講義』岩波新書)。これを入口に、短編好きになってほしい。その先に長編も待っている。この衝撃こそが「読書」からのメッセージだ。(K) 
 
※ 岩波は絶版ですが、「光文社古典新訳文庫」から、『アウル・クリーク橋の出来事/豹の眼』として出ています。
posted by 紫雲国語塾 at 18:27| 大分 ☔| Comment(0) | 紫雲の本棚から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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