アンブローズ・ビアス 著
西川 正身 訳
岩波文庫・絶版
「国語力をつけるにはどうすればいいか」という質問を受けることが多い。ところがこの質問をされる方は、必ずと言っていいほど、質問した瞬間にご自分で答に気づいた表情をし、私がおもむろに「読書が…」と口を開くと、「やはり…」となる。「読書」は、本当は当然の行為なのに、いつのまにか、趣味や嗜好性の一部に取り込まれ、「読書しない」という個性があるかのように語られる。あるいは、「読書したら国語の成績が上がる」かどうかで、読書という行為の価値を計ろうとする。「これを飲めば痩せる」というのは、商業主義の好む論理であって、それを読書に当てはめるのはあまりにナイーブだ。宿題の山、試験の嵐、部活動の疲労、といった苦難の中、どうか読書をしてほしい。その意義は、テストの成績ではなく、あなたの思考力をつくり、感性を育て、判断力を高め、想像力を大きくする。読書は、あなたの人間形成に寄与する、もっと高い次元のものだとわかってほしい。
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posted by 紫雲国語塾 at 18:27| 大分 ☔|
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